静岡県の酒蔵

全国の地酒ファンからご支持いただいている静岡の地酒。しかし、静岡県が地酒の銘醸地のひとつとして認められた歴史は、決して古くはありません。静岡の地酒が大きく飛躍し、全国から注目を集めたのは、昭和61年の「全国新酒鑑評会」からです。この年の全国新酒鑑評会に静岡県内から21蔵が出品し、17蔵が入賞、内10蔵が金賞を受賞。全国的には無名であった静岡の地酒が、金賞の実に1割近くを占めるという快挙でした。 この快挙の原動力のひとつになったのが、「静岡酵母」の存在です。静岡酵母は、酢酸イソアミル優勢の柔らかな果実香を引き出す、静岡県開発のオリジナル清酒酵母です。静岡酵母で醸した酒は「静岡型吟醸」と呼ばれ、「フレッシュで飲みあきしない酒。」「フルーティな香りで、雑味のない綺麗な酒」「優しい味と香りで、食中酒として最適。」といった評価をいただいています。

静岡県東部

かつて伊豆半島にはいくつもの酒造会社があったそうですが、戦中戦後の激しい変化を経て、今は伊豆市には1社のみ。その仕込み水は宇佐美山系の伏流水です。富士山周辺は6社の酒造会社があり、その仕込み水はもちろん富士山の伏流水。富士山の何層もの岩盤で磨かれた軟水ですが、それぞれに特徴があるといわれています。

静岡県中部

中部の酒造会社は、地図上で見れば一目瞭然ですが、旧東海道に沿う形で分布しています。中部の仕込み水は南アルプスの伏流水ですが、その源流となる山や水脈は、酒蔵ごとにそれぞれ異なります。手付かずの自然が残る、広大な南アルプスで育まれた豊富な水が、今も昔も中部地域の酒造りを支えています。

静岡県西部

平野が広がる県西部は、旧東海道といった街道沿いだけでなく、田圃が広がる穀倉地に酒蔵が点在するのが特徴的です。酒蔵などの古くからの産業は、土地の特長と共にあったことがうかがわれます。仕込み水は同じく南アルプス系ですが、諏訪湖に源を発する天竜川や、磐田原台地といった特徴的な地形が、それぞれの仕込み水の特長となっています。