かつてこの土地は、御厨(みくりや)と呼ばれていました。
現在の御殿場市、小山町、裾野市の一帯はかつて御厨と呼ばれていました。厨は台所を意味し、神饌を調理する建物のことです。当地は平安時代には伊勢神宮の荘園となり、食物を供給する土地でした。御厨と呼ばれた荘園は日本各地にあり、御殿場もそのひとつだったのです。
古くから富士山の恩恵を受けてきた当地。富士山の主祭神はコノハナサクヤヒメノミコト(木花之佐久夜毘売命)という女性の神様です。じつはお酒の神様ともいわれています。
コノハナサクヤヒメノミコトは、夫のニニギノミコト(瓊瓊杵尊)との間に3人の子どもを授かります。無事に出産したことを祝い、父であるオオヤマツミノカミ(大山祇神)が初めて酒を造って振舞いました。この逸話から、オオヤマツミノカミは酒造りの祖としてサケトケカミ(酒解神)、酒造りのきっかけを与えたコノハナサクヤヒメノミコトはサケトケコカミ(酒解子神)とも呼ばれています。
御厨の歴史、そしてわたしたちの氏神様がお酒の神様でもあったというエピソード。御厨榮蔵の環境は不思議な縁に手繰り寄せられているようです。