たくさん飲んでも飽きのこない、爽やかで味わいのある酒を造りたい。
▲上:消毒中の酒母室。下:広い蔵内の様子。まだ蔵全体の半分ほどしか手入れできなくて・・・とCEO。
──ご家族は反対なさらなかったのですか?
反対しましたとも(笑)。妻子は東京の家に住んでますが、今では妻は毎月こちらに来て手伝ってくれています。
──酒造りは初めてだったと思うのですが、どうやって学ばれたのですか?
実は私が子どもの頃、父が酒蔵をやってたんです。だから酒蔵の雰囲気は何となく身体に馴染んでたというか・・・よく蔵の中で遊んだりしていましたからね。
ただ造り方というのは、全く知らなかったものですから、森本酒造の森本社長のところへ押しかけていって、造らせてもらい、基本を教えてもらいました。
──CEOをそこまでのめり込ませた酒造りの魅力というのは、どんなところにあるのでしょうか?
そうですね・・・。前職は教科書を読み込んでいけば、世界中のどこでもできる仕事だったんですが、この酒造りには教科書だけではできない面白さがありますね。ほぼ同じ材料から造り出されるものなのに、造り手・タンク・蔵ごとに違うものができる・・・日本の風土が醸し出すその面白さですか。
──造るたびに新たな発見があるってことでしょうか。今、杜氏はどちらの方ですか?
小田島さんという南部杜氏です。もともとは「曽我鶴」の杜氏をやっていた人なんですが、彼が「曽我鶴」の復活をとても喜んでくれまして、手を貸してくれたんです。今では蔵人4人と地元の人にひとり手伝ってもらうこともあります。とにかく地元で支援してくれる人がいっぱいいた、ということが大きな力になっていますね。
──心強い限りですね。それで、初めての酒造りはいかがでしたか?
▲麹室のある2階部分。仕込み時期になると、蒸し上がった米が床に広げられる。
酒造りは、毎年こわいものですよ。その出来で、一喜一憂しています。1年目は特に大変でしたね。で、その反省や経験を通して2年目くらいから少しずつ気持ちが楽になってきました。
──今年で4回目の仕込みとなるわけですが、CEOの目指す地酒とは?
まずしっかりとした味が基本にあって、自分が良しとする味・・・飽きない味、つまりたくさん飲んでも飽きのこない、爽やかで味わいがあるお酒を造っていきたいですね。