▲親子で酒造りに真摯に取り組む、市川誠司社長と英俊さん。
住所/静岡市駿河区手越302
銘柄酒/「君盃」
≫所在地
旧東海道に面した酒蔵。全国トップクラスの水質といわれる安倍川という水源に恵まれ、現在100石という生産量を蔵元杜氏(市川誠司社長)と息子の英俊さんの二人三脚で造っている。
コツコツと地道に酒蔵を営み、全国に打って出ようという欲もない。ただ地元や旧東海道を歩く人たちに喜んでもらいたい、愛される酒を造りたいという想いを大切にしながら。この気持ちが、酒に優しく柔らかく溶け込んでいるのに違いない。
優しい酒を造りたい。
舌触りが滑らかで、香りがすーっと抜けていくような・・・
▲旧東海道沿いのお店には、ウォーキングの途中にお酒を求めに立ち寄る方も多い。
──こちらの蔵は創業されてから、どのくらい経つのですか?
祖先は江戸時代からここで酒屋をやっていたらしいですね。明治から昭和12〜13年頃にかけて企業合同が行われまして、戦後の昭和25年に解除された時には、戦災に遭っていないうちの蔵だけが残っていたんです。
──では仕込み水は、当時からこの敷地内の水を使っていたのですか?また米は何をお使いですか?
そうです。仕込み水はここの井戸水ですね。安倍川の伏流水が下を通っているのですよ。
米は兵庫県の山田錦と、滋賀県安土町の減農薬米です。
──酵母は、やっぱり静岡酵母ですか?
うちでは静岡酵母を使っていません。吟醸は茨城のM310、あと協会酵母の中でも香りが華やかな9号系を使っています。
M310は明利酒類(株)の高橋先生という方が造った酵母なんですが、カプロン酸系の酵母です。全国的にみて、一般の方もカプロン酸系の香りを好まれるようですね。名古屋の鑑評会でも多く入賞している酵母なんですよ。