▲深い瓦葺の軒庇が風格を感じさせる旧母屋。現在は店舗、事務所として使用されている。
住所/藤枝市岡部町岡部744
銘柄酒/「初亀」
≫所在地
旧東海道沿いに、「亀」の字を白く染め抜いた紺地の日よけ幕。宿場町の老舗酒蔵らしい風情を漂わせている。
初亀醸造は数々の受賞歴と共に全国にその名を知られているが、その名声は、単に古くから受け継いだものではない。先代社長から二代に渡っての不断の努力と工夫、また、静岡の蔵では珍しく、酒質だけでなく商品デザインへのこだわりなど、斬新な取り組みによって獲得したものであった。橋本謹嗣社長にお話を伺った。
初亀の酒造りへの想いが、お客様にすぐ通じるような酒を。
▲優しい笑顔に静かな語り口の橋本謹嗣社長。
──これまで何度かお会いしておりますが、実は私も岡部町の住人なんです。
えっ、そうだったんですか。知りませんでしたよ。
──昔、岡部に引っ越してきたばかりの頃、ある集まりの忘年会に、たまたま手元にあった酒を持って行ったんです。これは手に入りにくい酒ですって。そうしたら皆から、「初亀の旨さを知らないな!」って、すごいブーイングで、随分と怒られました(笑)。
そんなことがあったんですか。うちとしては嬉しいお話ですけど(笑)。
──ええ。ですから初亀さんというと、地元の人に愛されている、岡部町の自慢の酒という印象がすごく強烈で。
そうですか。酒造会社として、岡部町の方にそう思っていただけるのは嬉しいことですね。地元の人に、「岡部には初亀がある!」と誇りをもってもらえる、自慢してもらえる酒が目標のひとつでしたから。