静岡の地酒「静岡県酒造組合」 富士山、天城山地、南アルプスの名水で醸す静岡の地酒を蔵元情報と共にご紹介。日本酒の良さ、日本酒文化を多くの方に伝えたい。
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静岡県の酒造好適米「誉富士」

しずおか酒造りの風景


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インターナショナル・サケ・チャレンジ
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日本酒で乾杯推進会議
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静岡県育成酒米新品種「誉富士」(2)



▲誉富士の玄米(写真上)と60%精米された状態(写真下)。磨かれた米の中央、白い部分が心白(しんぱく)。心白はウェハス状の構造となっているため、その隙間で麹菌が繁殖しやすい。ただ、心白が大きすぎると精米時に割れやすいため、“粒が大きくて線状に心白が現れる”のが、良い酒米の条件のひとつ。その代表格が、“酒米の王様”といわれる山田錦。誉富士は、粒の大きさ・心白形状とも山田錦とほぼ同様に発現する。

──お聞きしただけでもだけでも気が遠くなるような作業ですが、後は酒米としてどうなるか、ということですね。

 平成15年以降は、奨励品種決定調査においてより細かく特性を調査・把握すると共に、酒米として重要な精米試験や、沼津工業技術センターにおける小仕込み醸造試験を実施しています。
 平成17年からは、植付時期や施肥など栽培法の場内試験も併せて実施すると共に、実際の農家による現地試作を行い、この生産物で醸造試験も実施しています。

──「誉富士」という名前は、どなたが付けたのですか?

 名前を公募したものの中から、石川県知事が選んでくれたものです。これが平成18年に受理され、親品種としての権利が生まれました。そして昨年には現地審査も終了し、今年度内に正式な品種登録が認められる見込みです。

──「誉富士」、静岡らしいいい名前です。実際に使う段階に行き着くまでの道程は遠いものなのですね。

 そうですね、「できた」からといってすぐに使えるものではないですからね。平成17年度から実際の農家における試作を各地で実施し、現地適応性を検討しています。生産物は静岡県酒造組合の全面的な協力の下で、実際の酒造会社によって試験醸造され、大規模な醸造適正試験を実施しています。


▲刈り入れ前の誉富士(左)と山田錦(右)の比較。誉富士は山田錦に比べ、20センチ以上も背の低い短稈種のため、強い風雨でも倒伏しにくいという特徴がある。

──大規模とおっしゃいますと、どのくらいの農家、酒蔵が携わっているのですか?

 平成17年度は、県下5地域(焼津市、菊川市、掛川市、袋井市、磐田市)16名の農家で合計4.5haで試験栽培を行い、酒蔵7社(万大醸造、高嶋酒造、富士高砂酒造、神沢川酒造、三和酒造、初亀醸造、大村屋酒造場)によって試験醸造されました。初年度のことなので心配していたのですが、まずまずの結果が得られ、一部市販された銘柄は消費者からも高い評価を受けることができました。

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