いい酒、未だ分からず・・・自分が満足できる酒を造りたい。
──ああ、そういうことでしたか・・・。お話を伺っていると何とも優しげな関西弁が入ってる気がするのですが・・・。
生まれも育ちも滋賀県ですからね。今でも屋敷はそのままありますよ。年に数回しか帰りませんが(笑)。これが近江商人の本来のスタイルなんです。
──近江商人という言葉は知っていましたが、今も面々と歴史が続いているのですね。
話は変わりますが、こちらでは社長が杜氏をなさっているとお聞きしています。
そうですね。杜氏も今は老人が多くなってきました。継承する若者が少ないということでしょうね。それから蔵人として雇っていた出稼ぎの人たちが少なくなったということでしょうか。
▲上:麹室のある2階から蔵内を望む。下:階段の途中から撮影した蔵内の様子。
──では、今はまさか社長おひとりで?
それはとてもとてもできません。息子ふたりと一緒にやってます。今年で9年になります。仕込み時期は11月より3月まで、酒を造ってますね。今は酒造りだけでなく、売ることまで全てを3人でやってます。
──お酒の仕込みについてお聞きしたいのですが、こちらでは水と米はどちらのものを使われているのですか?
水は小笠山の伏流水を、地下100mくらいからポンプで汲み上げしています。もちろん軟水ですよ。酒米は兵庫県の山田錦や静岡県産米を使っています。
酒の命は水が8割、米1割というくらい重要なものですからね。この部分では妥協することなく、いいものを使っています。
酵母は、協会9号、10号、14号等を使い分けています。