地元の市場で愛されるお酒を造りたい。
▲山下高明会長。地元磐田市の活性化にも積極的に取り組んでいる。
──なるほど。でも、100%地元米でできるようになれば、農業の活性化にも繋がりますね。
ところで、静岡では南部杜氏が多いと聞いているのですが、こちらの杜氏はどちらなのですか?
1世紀前の創業時から越後杜氏一筋です。昔は静岡県も越後杜氏が多かったのですが、今ではうちだけだと聞いています。
特に昭和21年から昭和63年まで、40年以上も当社の杜氏を務めた河合清さんは、現代の名工にも選ばれ、黄綬褒章も受章したくらい名人でした。現杜氏の高綱さんも高齢になってきましたが、気力・体力の続く限り来てください、と言っているんですよ(笑)。
──そういうお話を聞くと嬉しくなります。今後は、杜氏はどうされていくのですか?
淡麗で綺麗な酒を醸す越後流を変えるつもりはありません。杜氏は、才能溢れる若き製造部リーダーの鈴木社長です。越後流を継承していきます。
──社内杜氏になるというわけですね。確かに、杜氏の高齢化、継承者不足といった問題をよくお聞きします。後継の鈴木社長はどういった経歴の方なのですか?
東京農大を卒業してすぐにうちに入ってくれました。そして、いろんな部門の経験を積んで、平成8年には蔵の責任者になりました。今は地方酒類審議委員、県下の蔵元から選ばれて利き酒の審査などやってますよ。
▲鈴木繁希社長。蔵の製造責任を担う。
──それでは、鈴木社長にお聞きします。杜氏に就任されたということですが、緊張はしませんか?
お酒は生き物ですから、ドキドキですね。でもこの生き物というのは、いわばアナログ的。そんな仕事をしてみたかったから嬉しくもあります。まだまだ一人前ではありませんが、これは職人の仕事ですから、次世代へと継承していかなければならない責任も感じてます。
──意気込みがひしひしと伝わってきます。また仕込み時期にぜひ取材させてください。
山下会長が鈴木社長に期待されること、また新たな蔵人さんの構成はどのようにお考えですか?
そうですね。社長は自分好みのお酒を思ったように、どんな酒でも造れるような技術を持った職人と思っていますから・・・。良いと信じる「千寿」の酒を造ってもらいたいですね。
蔵人は全員で4人、若手育成のために分担を決めてやるのではなく、全員が一丸となって何でもできるような指導をしていきます。