▲明治に建てられたというモダンな事務所。
住所/磐田市中泉2914-6
銘柄酒/「千寿」
≫所在地
明治時代からの事務所の佇まいは、ゆっくりと時を刻んでいる。「千寿」という美しい名の由来は、地元に伝わる昔々の悲しい恋の物語からだとか。
源平戦乱の世に当代一といわれた千寿はとびきり美しい白拍子。彼女は平清盛の五男、重衡とひと目で恋におちる。重衡の死後、悲しみは深く、千寿はやがて恋慕のあまり若くしてこの世を去った・・・。その一途な恋に淡麗な酒を重ねて「千寿」は生まれた。
山下高明会長、鈴木繁希社長のお二方にお話を聞いた。
地元の市場で愛されるお酒を造りたい。
──事務所はかなり歴史を感じさせる立派な建屋ですね。創業はいつ頃からなのでしょうか?
明治35年(1902年)ですね。もうすぐ108年になります。
──明治時代の名残りというか、とてもモダンな感じが素敵ですね。
早速ですが、ここの酒造りで使うお水はどちらからのものですか?
ここは磐田原台地の西の外れになりますので、太古には蛇行した天竜川がすぐ下を流れていたんです。今は150mほど掘った井戸からポンプ式で汲み上げています。
あまり知られていませんが、磐田はとても良い水の出る土地です。実はシャネルの香水の原液製造に使われているのは磐田の水なんですよ。
▲事務所前からみた蔵敷地内の様子。用途に沿った建物がきれいに配置されている。
──えっ、あのシャネルですか!驚きました。そのくらい質の高い水ということなのですね。では、お米はどちらのものを・・・?
県外の特A地区のお米が多いのですが、県内産米を増やしていきたいと思っています。県内産では五百万石を多く使用しています。できれば、地元の農家と連携して、その割合をもっと多くしていきたいと思っているのですが、酒米作りは農家にとってもハイリスク、ハイリターンですからね。