▲緑豊かな磐田原台地の裾に建つ國香酒造。
住所/袋井市山田537
銘柄酒/「國香」「傳一郎」
≫所在地
田畑の緑はますます色濃くなり、陽射しは限りなく眩しく、強い。ただ立っているだけで汗が吹き出てくる。しかし、成長し始めた稲にときおり風が通り抜け、さやさやと奏でる音が胸の中に入ってくると、身も心も緑色に染まるような気がしてくる。
繁華街の喧騒とはおよそ遠い世界に「國香酒造株式会社」はある。静岡型吟醸造りを頑なに守り続け、酒への愛に溢れた蔵元杜氏、松尾晃一社長にお話を聞いた。
静岡型吟醸の伝統を守り続ける三蔵のひとつ。
一杯、また一杯と盃がすすむ酒。
──こちらは歴史を感じさせる佇まいですが、創業当時からずっとこの地で造り続けているのですか?
▲静岡県ブランドとしての吟醸酒について熱心に語る松尾晃一社長。
そうです。創業200年になります。私で7代目ですね。
──社長ご自身が杜氏をされているとお聞きしています。
そうです。平成6年から自家醸造に切り替えました。ですから、もうかれこれ14、5年になりますね。
自分の好きな酒がなかなか造れなかったんですよ。ですから、静岡酵母を開発された河村先生に相談しつつ、酒造りに挑戦してきました。蔵人も仕込みの時期に地元の方にお願いして、分担して仕事をする、というやり方です。
(*)河村伝兵衛氏:元・静岡県沼津工業技術支援センター研究技監。静岡酵母の研究開発と、その醸造指導に尽力し、静岡県産酒の品質向上に多大な功績があった。平成15年に退職。現・株式会社RIVERSON代表取締役。