普段飲みの美味しい酒を造りたい。
▲奥の花台は明治蔵で使われていた酒槽(さかぶね)。テーブルや椅子も、明治蔵で使われていた木製の道具や設備をリデザインしたもの。
──こちらはとっても良い雰囲気ですね。なるほど、いろいろなところに昔の道具が使われていて、またそのひとつひとつがセンスよく生かされています。
そういえば、先ほどイベント案内を見せていただいたのですが・・・?
いろいろやってますよ。ここは食事だけじゃなく、ギャラリーやコンサートを開いたりもしてます。音楽はジャズ、レゲエからヒップポップまでなんでも。
若い人たちがどんどん来てくれることは、社会の活性化にも貢献してると思うんですね。文化の土台を支えていくのは若者たちですから。ここでは各種パーティから結婚式の二次会もやりますよ。
──いろいろな人が集い、そこにお酒がある、とても楽しそうです。社長は、日本酒をどんなふうに味わってほしいと思われますか?
和らぎ水、洋酒のチェイサーみたいにお水を飲みながら、ゆっくりとやるのがいいです。そうすると悪酔いしませんよ。
酒を楽しく飲むのには、場所、好きな酒、質の高いサービスがあればいいと思うんです。ここの蔵は、そういう意味でお酒の楽しみ方を経験していただける場になれればいいと思っています。
──近所にこんな場所が欲しいです(笑)。
少し基本的なことを伺っていきたいのですが、こちらのお酒は、主にどのあたりで消費されているのですか?
ほとんど地元で消費されていますね。地酒というくらいですから、地元の人に飲んでもらうのが一番ですから。でも、県東部地区や中部地区の方にも飲んでいただきたいですね。
▲明治蔵の2階は、ギャラリーやパーティーが行えるフリースペース。中村社長は、日本酒の楽しみ方の提案を積極的に行っている。
──そうですね。東、中部ではちょっと手に入りにくいかもしれません。
ところで、杜氏はどちらの方を使っているのですか?
実は、今年の仕込みから杜氏は呼びません。というのも、今まで来ていただいてた方が引退してしまいましてね。今年からは社内でやります。杜氏を女性社員がやりたいっていうもんですから、やらせてみようと思ってるんですよ。
彼女は泊り込みまでして杜氏について取り組んでましたから。寝る間も惜しんであんまり頑張るものだから、寝不足で顔がむくんだりもしてましたねえ。ずいぶん身体の心配もしましたよ。「帰りなさい」と言っても、私に隠れて泊り込みしたり、帰るふりをしてこっそり戻ってきたり・・・。
──とても強い方ですね。でも女性の杜氏というのは体力的に大変なのではありませんか?
きつい仕事ですからね、大変ですよ。そりゃあ・・・。でも本人が頑張るっていうから。大変な部分は皆でサポートしてやっていこうと・・・。杜氏も年々人が減ってきていますからね、いつか通る道なんですよ。