▲白い蔵に赤い日よけ幕のコントラストが目をひく。
住所/浜松市中区天神町3-57
銘柄酒/「出世城」
≫所在地
駅のそばの街中に、日本的モダンともいうべき建物がある。門には「天神蔵」と書かれた赤いのれん。門をくぐれば右手に明治蔵。その奥には、麦酒工房。西洋風のレンガ造りに大きな窓。窓の向こうにはぴかぴかと金色に光るビールの醸造プラント。左手には空に向かってそびえたつような平成蔵、昭和蔵。「開かれた蔵」という中村保雄社長の思いが、そのまま形になっているような空間がそこにあった。
普段飲みの美味しい酒を造りたい。
▲明治蔵内の販売スペース。浜松酒造の製品はもちろん、酒器やわさび漬けといった加工品なども販売されている。試飲スペースも用意されている。
──ここは広い通り沿いにあって、今までの酒蔵のイメージとはまったく違う印象を受けたのですが、この地で酒造りを始めてどのくらいになるのですか?
明治4年、創業140年になりますかね。私で酒造りでは6代目になります。
──こちらの「出世城」の名前の由来を教えてください。
徳川家康が天下統一を夢みて、第一歩を踏み出したのが、ここ浜松城でして別名「出世城」と呼ばれています。松島十湖の歌の中に、「浜松は出世城なり初がつお」というのがあるんですよ。この歌の中からとりました。
▲明治蔵内のカフェスペース。高い天井にセンスの良い調度品、柔らかな照明。ぜひ訪れてみてほしい。
──なるほど。とても縁起の良い名前ですね。
ところで、酒蔵の前に人が多くてびっくりしましたが 、ランチをやっているのですね。ここ明治蔵では飲食ができるのですか?
そうですね。昼はカフェ、夜は居酒屋として使ってます。酒もビールも出来立てをすぐに飲んでもらいたいですからね。
ここのテーブルは樽の底板を、生け花の棚は昔使っていた
酒槽(さかぶね)と梁木(しめき)です。浜松大空襲の時、ほとんど焼けてしまいましたからね。残ってるものだけでも、皆に見ていただこうと思って。