▲ポジティブに、そしてユニークな感覚で、地酒の楽しみ方や将来を語る高嶋社長。静岡県内で最も若い蔵元。
住所/沼津市原354-1
TEL/ 055-966-0018
銘柄酒/「白隠正宗」
≫所在地
ここは昔の東海道。絶え間なく行き交う車。真夏の陽射しの中で、白く建っているのが「高嶋酒造株式会社」の蔵だ。敷地内には、地下150mから汲み上げている井戸水が豊富に湧き出ている。常に溢れているその湧き水を近隣の人たちにも使ってもらおうと、すぐ横の通りにパイプを通し水場が作られていた。見ていると、皆ポリタンクを持って自由に水を汲んでいく。地域に馴染んだ蔵という印象を受ける。
高嶋酒造の若き蔵元、高嶋一孝社長にお話をうかがった。
甘みとふくらみがパッと出て、キレがいい、
静岡らしい味のある酒を造りたい。
▲正面間口(上)に比べて、とても奥行きが長い敷地(下)。綺麗に整備された歩道に面して、誰もが自由に水を汲める水場が用意されている。
──このあたりは旧東海道沿いらしい古い家屋が残る素敵な街だと思うのですが、ずっとこの地で酒造りをなさってきたのですか?
もともとは網元で、魚を獲っていたらしいんですよ。それが、本陣が近くにあったこともあり、先見の明というか時代のニーズに応えて、酒造りを始めたという話です。
──ずいぶん若い蔵元さんですが、酒造りはどのようにして勉強されたのですか?大変だったのではないですか?
そうですね。大学に入って醸造のゼミをとったのですが、それが酒ではなく、醤油造りなんですよ(笑)。ゼミの先生の勧めもあって入ったんですが・・・。でもこのことで、別の視点からも酒造りを見ることができるようになって、かえって良かったと思いますね。
大学を卒業してからは、1年弱ほど鑑評会を主催している「酒類総合研究所」で学びました。蔵を継いだのは25歳の時です。それから4年、何もわけの分からない状態から、ようやく酒造りの面白さが分かるようになってきましたね。
──杜氏さんや蔵人さんの方が、皆さん社長よりも年配で経験も長いですよね。社長としてやりにくいようなことはありませんでしたか?
実は杜氏も蔵人も私の代になってから、ガラリと変えました。今の杜氏は、北海道と灘の両方で酒造りの経験がある南部杜氏で、ちょっと面白いかなあと思って・・・。以前は越後杜氏を使っていたのですが、基本的に私は南部杜氏が好きなんですよ。