▲「富士山」を手にする牧野利一専務。
住所/富士宮市下条1037
銘柄酒/「白糸」「富士山」
≫所在地
緑一面の田園の中、こんもりと茂った木々を従えて赤い大きな蔵が目に入る。霊峰富士の麓のこの酒蔵こそ、創業270年という長い歴史を持つ「牧野酒造合資会社」だ。門をくぐれば、白と黒のコントラストも美しいなまこ壁の蔵。母屋の隣にはもうひとつ木製の瀟洒(しょうしゃ)な家屋が。遠い昔、嫁入りの際に、披露宴を開くために建てた客殿と聞く。
9代目蔵元の牧野利一専務にお話を聞いた。
いくら飲んでも翌日残らない酒、料理を引き立てる酒造り!
▲牧野酒造の周辺。こうした美しい緑濃い風景の中に蔵は建っている。
──創業270年とはかなり古くから創業されていますが、昔からこの地で酒造りをしていたのですか?
初めはこの土地で穀物商を営み、その余剰米から酒造りを始めました。
──そうなのですね。早速、基本的なことをお伺いしますが、ここの酒造りで使っている水、米について教えてください。
仕込水は、当蔵の1km上流に静岡県の三大名水のひとつ“椿沢”があります。富士山からの柔らかな水が、岩盤でさらにろ過され、湧き出ているところです。ここからの水で造った酒は、ほのかに甘みの残る静岡県らしい優しい酒になりますね。
米は、地元産も使っていますが、それだけでは全然足りないので、北陸や兵庫県の山田錦を使っています。