優しい酒を造りたい。
舌触りが滑らかで、香りがすーっと抜けていくような・・・
──静岡地酒については、どんなふうに捉えていますか?
ある有名産地、酒どころの酒を飲み歩いてきたことがあったんですよ、でもそこの酒は全部同じ傾向だったですね(笑)。静岡はきちんと一軒、一軒違う味の傾向を出していると言った方がいらっしゃいました。各蔵によって個性があるってことですよ。地酒として面白いと思いますね。
──その中で、君盃さんとしての個性、目指す酒というのはどんなものですか?
そうですね、原酒のまま春夏秋冬と、それぞれ貯蔵の仕方を変えて、もっと季節感のある酒を造りたいですね。例えば、冬には特別本醸造の初搾りとか。四季折々に楽しんでもらえるような・・・。もちろん春夏秋冬ラベルのデザインも変えて。
今は「もみじ」という秋限定の純米吟醸酒ひやおろしを出しているのですが、とてもよく売れています。
▲上:洗い場から見た釜場。奥に見えるのは放冷機。下:仕込み蔵。タンクがいくつも並ぶ。
──「もみじ」は、原酒なのに角のない円い味。舌に残るさらっとした甘みが本当に旨いですね。
いいでしょう。冷蔵でひと夏越すと、やはり酒も変わります。「もみじ」はリピーターがとても多いのですよ。あとは、食中酒として特別本醸造が料理とのマッチングを難しく考えなくても楽しめる酒だと思うので、力を入れていきたいところですね。
特定名称酒から普通酒まで、原料の違いこそあれ、同じ気持ちを込めて丁寧に造っていこうと思います。
──最後に君盃さんらしい酒といえば?
優しい酒・・・ですね。全てに気持ちを込めて醸す優しい酒が「君盃の酒」です。
──ありがとうございました。
(取材日:2007年9月19日)