静岡の地酒「静岡県酒造組合」 富士山、天城山地、南アルプスの名水で醸す静岡の地酒を蔵元情報と共にご紹介。日本酒の良さ、日本酒文化を多くの方に伝えたい。
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静岡県の酒蔵会社と蔵元の紹介

しずおか酒造りの風景


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インターナショナル・サケ・チャレンジ
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第11回 静岡県地酒まつりin東京

第22回 静岡県地酒まつりin静岡

日本酒で乾杯推進会議
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磯自慢酒造株式会社(2)

常に挑戦の姿勢を忘れず、他にはない磯自慢らしさを追及したい。


▲完璧に空調管理された、ステンレス張りの仕込み室。作業のしやすさを考えた工夫が随所に隠されている。また、懸念される東海地震に備え、全てアンカーボルトで固定されている。

──蔵を見学させていただく時は、納豆を食べていってはダメだとよくいわれますが、それほど雑菌が影響してしまう。

 勿論です。確かに昔みたいな腐造というリスクはほとんどありませんが、それでも酒造りにとって、雑菌は不確定な要素であることは間違いありません。これまでの経験で、「こうすればこういう酒ができる」ということは分かっていますが、そこに雑菌などの不確定要素が入り込むと、磯自慢としての酒造りが成立しなくなってしまう。それでは、お客様や酒販店さんに品質の保証ができなくなる。それは磯自慢として絶対にできないことです。

──厳しい環境・衛生基準の中で造られていることがよく分かります。社長は大学を卒業されてから、すぐ蔵に入られたのですか?

 いえ、最初は商社に勤めていて、それから蔵に戻りました。20歳代の後半です。
 その頃は、静岡の酒造会社にとって厳しい時代で、生き残るためには品質を上げていくしかない。他の蔵とは違う、面白いものを造らなければ生き残れないと思いました。そのためには、大事な商品つくりを他人任せにしないで、自分で挑戦しなければダメだと。それ以来、今でも挑戦し続ける姿勢は変わっていません。


▲勢いよく噴出する仕込み水。

──そこが社長の酒造りの原点というか始まり。

 まあ、そうなのですが、そう決意した翌朝から起きられなかったですからね(笑)。1年目はボロボロでしたよ。その頃は横山さんという杜氏でしたが、インターフォンで「洋ちゃん、起きろ〜」って毎朝起こされていました。今はそんなことはないですが(笑)。



▲最新の蒸気式の釜(上)と、まだ現役という木製の甑(こしき)(下)。この大きさの樽を作れる職人がもういなくて・・・困りました。と社長。

──生活習慣が一変したわけですからキツイですよね(笑)。社長が目指す酒を実現される上で、いろいろな苦労があったと思うのですが。

 例えば米です。ある人から本当の特A産地の米がどんなものか知らないだろうといわれて、兵庫県東条町の山田錦を教えられました。どうしてもこの米を使って酒を造りたいと思い、現地の農家にお願いをして回ったのですが、もう完全に門前払いでした。それでも毎年、現地に行ってお願いして、なんとか1軒の農家に話を聞いてもらえるまでに6年掛かりました。

──6年ですか。でも、その時間があったから、信頼関係の醸成につながった。

 そうだと思います。毎年、田植えや刈入れの時期には、兵庫までお手伝いにいっています。今、「フロンティア東条21」といって、この東条の山田錦で酒を造っている酒蔵が集まって、東条町の農家を応援しています。ここの米があってこそ造れる酒がありますから。

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